光触媒塗装とは、酸化チタンによる分解性と雨水等による親水性を活かした自浄作用のある塗膜を形成するとされる特殊塗装のひとつです。
20年以上も前に新技術として提唱されましたが、未だ定番にはなっていません。
その理由としては、技術自体は大変優れたものですが、
便器やタイル等の工業製品として出来上がるものの品質 と比較して、住宅塗装,外壁塗装(塗り替え)の “それ” は、機能性ばかりが先行して 施工技術が追いついていない という背景がありました。
事実、下手な施工をすると壁材そのものをも分解するように、自浄作用どころか己の塗膜自身を分解しながら剥がれ落ちてゆく というものにさえなりかねません。
最近ではそうならないような改良も加えられていますが、
『光触媒としての機能を有する “可能性のある” 塗膜』
となっているだけであり、工業製品のように100%の機能 を全面に出したものではないという事を考慮して計画されて下さい。
下記はTOTOさんの製品ですが、受賞されて1年で販売停止となっています。
地面から軒裏まで、また東西南北全ての面で日常的に日が差し、雨が流れるなら期待できる かも しれません。(そのような住宅は見たことがありませんけど)
似たようなものに『銀触媒』なるものもあります。
抗菌作用を促す付加機能を有する銀イオンですが、総じて こんなもの は一般住宅における外装塗装には 向きません。
こういった触媒塗装が活きる場は、日常的に清潔に保つ必要があり、また保たれているような場所。
例えば病院施設や食品関係の床や設備に有益な作用をもたらします。
これらを塗装したから 『衛生的』 になるのではなく、『衛生的に万全を期す』必要がある箇所に対し、日常的に清潔が保たれているが、万一の場合にも備えるというような意味 の方が強いです。
カビの生えやすい浴室や脱衣所に塗装しても、分解量が繁殖量を上回る事はまず ありえません。すなわち、日常的にカビやすい場所で施工しても、この先カビなくなる訳ではなく黴の繁殖速度が抑えられるようになる “可能性がある” というだけ のものです。
こんな物を塗ってカビが無くなるなら世の中全部これの筈です
こんなものに頼ってせっかくのお住まいを不衛生にしてしまうのではなく、日常的に物理的に絶えず清掃を行い、また意識して清潔に保つという事の方がよほど意味があります。
銀触媒程度 のものならドライフラワーや紙にでも吹き付け玄関や靴箱等に置いておくとよいと思います。
浴室や脱衣所のカビ対策をとりたいのであれば、24時間浴室の換気扇を回しておく方が衛生的 です。大きさによって電気料金は異なりますが、ひと月で200円程度。一年で2,400円程度の事です。24時間空調システムとは異なるので、浴室のものを回しておきましょう。不確定な機能にお金を掛けるならこの方が経済的と言えます。(電機屋の回し者ではありません)
市販のカビ取り剤やその手間と比較すれば、安いのは言うまでもありません。
何万円も何十万もかけて 不確定なものを塗りつけるよりも、24時間換気する方が実用的 ですよ。